研究課題/領域番号 |
17330050
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
深尾 京司 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30173305)
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研究分担者 |
宮川 努 学習院大学, 経済学部, 教授 (30272777)
劉 徳強 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10240417)
阿部 修人 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (30323893)
伊藤 恵子 専修大学, 経済学部, 助教授 (40353528)
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キーワード | 中国 / 直接投資 / 生産性 / 国営企業 |
研究概要 |
平成18年度も中国で企業調査を実施した。調査対象として、アパレル企業、自動車部品企業、鉄鋼企業を中心とした。対象地域は、遼寧省、浙江省、華北省、吉林省、山東省である。これらの企業における2000年から2005年までの生産と経営に関する情報を収集し、中国企業の生産性の水準とその影響要因を解明しようとした。収集された企業の標本454社中、分析対象は364社である。分析結果によると、期間中、中国企業における生産性は大いに上昇した。この中でアパレル企業の生産性の伸びは年率8%、鉄鋼企業は13%、そして自動車部品企業の生産性は17%であった。中国経済の高成長の背景にはこのような生産性の高い上昇があることが示された。さらに、従来の労働集約的なアパレル産業より、資本集約的な鉄鋼業の生産性の伸びが速く、それ以上に知識集約的(または技術集約的)な自動車部品企業の生産性の伸びが速かった。生産性上昇の原因については解析中である。 もう一つの分析として、既存のミクロデータを用い、外資との取引関係や、日中韓企業との生産性比較を行った。まず、日系海外現地法人のデータを利用し、欧米やアセアンに進出している現地法人と比較して、中国では現地販売比率が高いと収益性が低いという関係を見出した。しかし、近年に限れば、規制緩和や諸制度の整備の影響か、現地販売率が高い企業の収益率は必ずしも低くはなかった。また、自動車企業について分析した結果によると、日系組立メーカーは、生産性が低くても日系のサプライヤーを取引相手として選択する傾向が強かった。また、日系組立メーカーと取引のあるサプライヤーは、生産性の伸びが高い傾向が見られた。さらに、中国上場企業に焦点を当て、日本や韓国の上場企業と比較した生産性レベルの測定も試みた。上場企業に限れば、中国企業の生産性レベルは日韓より格段に低く、生産性の伸びも顕著には見られなかった。
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