研究概要 |
デジタルデバイドの現状を示す指標としては,国際通信連合(ITU)によるDigital Access IndexやEconomist誌のe-Readiness Indexなど,これまでに幾つかの指標が開発・利用されてきたが,それらの指標の多くも電話回線数やパソコン台数などのアクセス手段の利用可能性に着目した手段的目標から構成されるものであった.しかし,情報通信技術へのアクセスはそれ自体が政策目標なのではなく,より高次元の政策目標と関連付けた成果指標の開拓やその体系化が求められている.こうした認識に立ち,我々は経済社会発展を目指した情報通信政策の立案・点検を行うための政策/指標体系の構築を目指している.これについて,当初は通信基盤/人材基盤/制度基盤/経済活動/政府サービス/社会・文化・娯楽の6つの領域と,入力指標/中間指標/成果指標の3つのフェーズとに分類した体系を構想した.本年度は実際に継続的に収集可能なデータに絞って具体的な指標化をおこなった。更に独自の情報源となる言語天文台による観測結果の精度向上、収集速度向上を図るために各種の検討を行った. また,デジタルデバイドの評価方法について,世界の統計と日本の都道府県の統計に対してジニ係数の考え方を適用することにより,国家間・地域間の不平等度の指標化を行った.さらに日本国内の地域間格差の経年変化を分析し,社会全体の情報化の動きと照らし合わせることで,デジタルデバイドの評価指標としてのジニ係数について,一定の有効性を確認した.
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