研究課題
本研究は、国内の「少子化」(及び人口減少)によって生じるマイナスの経済効果が、地域の「経済統合」によって、どこまで克服可能であるのか、その際に、企業、家計、学校、地域社会などが、「少子化」対策及び「外国人」労働者政策を如何に組み合わせることによって、「世代間利害」の対立を最小化できるかを主要テーマとする。このため本年度は、以下の5つの柱に従って研究活動を推進した。第1に、「地域の経済統合下における人口移動の経済的影響」に関し、アジアでは韓国の延世大学、欧州では、独・エアランゲン・ニュルンベルク大学、仏・リール第一大学のチームと、今後の協力関係の基礎固めを行った。特に、欧州諸国では、経済統合が進展するなか、高賃金国の経済が停滞して人材が流出し、同時に不熟練労働が流入する状況を統計的に確認し、併せ、外国人の「統合政策」の見直しと制度的インフラの動向を調査した。アジアでは、多国籍企業の行動変化と域内の人材移動の変化を、ケーススタデイに基づいて確認した。第2に、「少子化を促進する家計、労働市場及び企業の雇用管理の構造」に関し、家計や企業の行動を、その価値観の違いを考慮して解明するモデルを想定し、個票データを使用して実証分析を実施した。従来は、夫婦の子供数の決定要因の解明が中心だったが、今回は非婚・晩婚化の要因に踏み込んで分析結果を得た。第3に、「労働力構成の高度化と若年層の減少が、地域ごとの業種・職種別の労働需要と外国人労働へのニーズに与える影響」に関しては、外国人研修生又は日系人について異なる労働市場モデルを想定し、それら外国人の分布の決定要因を計量的に分析した。その結果、高校卒業者の入職率や特定の業種分布に強い相関を見出した。第4に、「世代間利害調整に関する理論的な検討」では、外国人の「第二,三世代」の影響と対策を考慮し、同時に長期の労働供給予測の改定を進めた。第5に、「国内外からの情報収集と成果の発信」において、収集又は作成した情報のPDF化を進め、研究チームのホームページを整備し、情報を発信する体制を整えた。
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