研究課題
以下の4つの研究を実施した。(1) 過去二年間に蓄積した数量的データ及びケースレコードを活用して、情報サービス産業、遊興飲食産業、介護サービス産業における外国人労働者の就労に関する実証分析を行った。(2) サービス産業の外国人労働者に関する政策決定や行政に関わるアクターおよび送り出し国の政策アクター(大使館、領事館の担当官など)からの聞き取りを行い、政策提言を行うための現実的な条件について探求した。(3) 過去二年間実施してきた文献研究をもとに、最終報告書を取りまとめるにあたっての理論的フレームワークを提供するための作業を行った。理論フレームについては遊興飲食産業の外国人エンターテイナーの労働を分析するための論文において、一応の確定版として提示した。(4) 3年間の研究を総括するために月例研究会を実施し、事実認識、分析枠組みについて認識の共有を図った。この会合での議論を活かしながら、参加メンバーが本研究の最終アウトプットとなる複数の学術論文を執筆した。以上のような研究活動により生み出すことのできた学術的な成果の中から、特に意義があると考えられる点として、以下の3つを指摘することができる。(1) 情報サービス産業、遊興飲食産業で働く外国人について深くかつ広い情報を集積し、その実態の解明に成功した。(2) 外国人の就労に関する政策に関しては、外国人の保護という観点からの規制を強化することで、逆に外国人にとっての機会選択の自由を喪失させ、結果的により好ましくない就労状態に導いてしまう場合がある、というパフドックスを発見した。(3) 理論研究の成果としてマーシャル・サーリンズの相互性概念を応用した就労モデルを開発することができた。このモデルは外国人のみならず、今日の日本のサービス産業従事者の就労状況を分析する上で普遍的に有効な枠組みであることを示すことができた。
すべて 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
一橋社会科学 通巻5号(印刷中)
外国人研修生・技能実習生受入実態調査 (印刷中)
情報化・サービス化と外国人労働者に関する研究Discussion Paper No.8
ページ: 1-99
Asian Business and Management 6(4)
ページ: 409-430
新見公立短期大学紀要 28
ページ: 35-46
http://www.y-kurata.com/dpkaken/dptop.htm