研究分担者 |
福田 亘 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (00030669)
足立 正樹 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90068263)
永合 位行 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40218037)
藤岡 秀英 神戸大学, 経済学研究科, 助教授 (30252753)
村上 寿来 神戸大学, 経済学研究科, 助手 (10379505)
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研究概要 |
1.計画初年度である平成17年度においては経済基盤の変化が経済発展および経済社会に及ぼす影響について先行研究の批判的整理と対象を限定したケーススタディを行った.経済基盤の変化としてグローバル化と高齢化をとりあげ,それが経済社会に及ぼす影響の重要性の評価を試みた.先行研究が示す暫定的な結論はその負の影響が容易ならざるものであり,市場と政府の二元秩序をもってしては,豊かで安定した国民の生活はもはや望み得ないというものである.90年代になって急速に勢いをえた市場主義も二元秩序を否定するが,われわれは市場主義の主張する一元秩序への回帰ではなく,三元的秩序を重視する(福田論文).サード・エコノミーは政府・市場に加えての第三の整序メカニズムの総称である.しかしこの三層秩序がどのような仕組みであるのか,それがどのように機能するのかはこれまで必ずしも分析されていなかった.永合は市場主義のもたらした弊害を整理し,市場システムの限界問題を解決するためには三層秩序の構築が必要であることを,経済倫理学的に基礎づけた. 2.第三の整序機能の要素に関するケーススタディ 村上はヒューマンケア研究所が兵庫県都市部を対象に行った調査結果を解析し,老人クラブの発達の背景とそれが経済社会の活性化に期待される機能について考察している.また藤岡はフィリピンに現地調査を行い,NGOの活動に焦点を絞って社会保障制度のあり方について考察した。またヒューマンケア機構から出版された冊子においては地域コミュニティづくりと介護保険制度について論じた. 3.南アジアにおけるサード・エコノミーの機能に関する研究成果の交換 2005年12月には内外の研究者を招いてワークショップを開催した.毎外の研究者にはとくに南アジアにおけるNGOの活動の実態についての調査報告を依頼し,貴重な資料をえることができた.三層秩序の国際的な研究組織の構築に着手できたことも今年度のプロジェクトの大きな成果である。
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