研究課題/領域番号 |
17330076
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
林 宜嗣 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40122220)
|
研究分担者 |
高林 喜久生 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10226912)
前田 高志 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70165645)
戸谷 裕之 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (50188752)
三浦 晴彦 奈良産業大学, 経済学部, 助教授 (80341048)
鈴木 健司 日本福祉大学, 経済学部, 専任講師 (90351080)
|
キーワード | 地方分権 / 生産性 / PFI / 三位一体の改革 / 徴税効率 / 消防サービス / 受益者負担 / 公共投資 |
研究概要 |
本年度は、地方行財政運営の問題と、改革に必要な諸課題について研究を進めることができた。具体的にあげると以下の通りである。第1に、現在の地方財政運営を、住民との関わり、国の地方財政に対する関与など、地方財政危機を引き起こしている様々な要因を自治体間比較等によって分析し、近年多くの自治体で取り入れられている行政評価システムなど地方行革の問題点を明確にした。多くの自治体が行っている行政評価は住民にとって理解困難であり、内部資料にとどまっていることも多い。また、担当部局に事務事業の意義をたずねると、どうしても主観的な回答が寄せられ、結局は事務事業の存続を正当化するための行政評価となっているケースも散見された。第2に、行政サービスの生産における効率性の考え方を整理し、自治体間の生産性格差の実証分析を確立するために研究会を行い、ベンチマーク型行政評価システムの開発について協議した。これらの成果を踏まえ、「最小の経費で最大の効果」をあげるために必要な地方行財政システムのあり方、とくに、地方公共サービスの生産性分析に関して、生産性を決定づける要因の理論的枠組みの構築、消防サービス、ごみ収集・処理等の行政サービスを取り上げ、自治体問の生産性格差計測のフレームワークの構築と、それに基づいた実証研究を行った。これらの研究成果は著書、論文、学会、研究会等において報告された。地方税の徴税効率に関して全国都市にアンケート調査を行うとともに、実証研究を行った。結果としては、人口規模が大きいほど(小さいほど)徴収率は上昇(低下)するという傾向を見出すとともに、近畿2府4県の人口規模10万人未満の219市町村をサンプルに、人口規模と徴税職員(総務、課税、徴収、その他の合計)の関係を検証した結果、小規模自治体には、理論上、徴税に最低限必要とされる職員数すら満たさない所があることが明らかとなった。分権改革を進めるためには地方税の充実は不可欠であるが、一方で税の執行面を含めた効率性、簡素性への配慮を怠るなら、納税者の税制へのコンプライアンスが失われ、かえって分権への妨げになる可能性があることにも留意する必要がある。NPMにおいて重要な役割を果たすPFIのありかたについて研究を行い、行政と民間企業の契約のあり方、PFI事業を含めた民間活力の導入を地域活性化の手段として用いることの重要性を明らかにした。その他にも、地方分権の推進とともに国からの財源移転が減少する中で、地方自治体にとって最低限必要な支出水準を実証的に明らかにした。さらに、スウェーデン、オーストラリア、シンガポールにおいて調査し、地域産業の活性化が地方財政運営において重要であることを強く認識した。
|