研究課題
日本の歴史人口学研究は、江戸時代の人口パターンが地域によって大きくことなることを明らかにしてきた。しかし、その違いがことなる行動様式に基づくものなのか、あるいは単にことなる環境へ適応したための違いであるのかという点は必ずしも明確でない。本研究はこの問題に接近するため、濃尾地方と東北地方という人口行動の上では対照的な2つの地域の比較研究を行うことを目標としている。本年度の研究は、これまでの研究において蓄積されてきた歴史人口データを共同研究に適したデータベースとして整備すること、また新たなデータを収集し追加することに取り組んだ。具体的には次の作業を行った。1、研究分担者の研究室(甲南大学文学部中里研究室)にサーバマシンを設置し、既存のデータを蓄積した。また、検索言語SQLの標準的プログラムの1つであるPostgreSQLをインストールし、各分担者がインターネットを介してデータの抽出を行うことを可能にした。これにより、特別なトレーニングを受けた者以外でも、またそれぞれの研究拠点からでも、データを操作することが可能となった。2、濃尾地方の新しい史料として安八郡中須村の史料を紙媒体の史料からコンピュータに入力した。その結果、濃尾地方のサンプル数が増え、分析の信頼度向上が期待できるようになった。こうしたデータベースの整備作業と平行して、従来のデータにもとづく研究も継続した。その結果は、事前打ち合わせを含めて6回にわたる共同研究会で随時報告され、その一部は雑誌論文、または単行書の一部として発表した。次年度は、構築したデータベースのクリーニング作業を継続するとともに、数ヵ村からなる地域データベースを構築する予定である。こうしたデータにもとづく実証分析もさらに継続したい。
すべて 2006 2005
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帝京社会学 第19号
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FCRONOS Working Paper Series(慶應義塾大学) 05-028
ページ: 1-23
関西大学経済論集 55(4)(印刷中)
Journal of International Economic Studies No.20(印刷中)
徳川日本のライフコース--歴史人口学との対話(落合恵美子編著)(ミネルヴァ書房) (印刷中)(所収)
Population Studies Vol.59,No.3
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麗澤大学紀要 第81巻
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Living Standards in the Past: New Perspective on Well-Being in Asia and Europe, (in Allen, Robert, Tommy Bengtsson and Martin Dribe (eds),)(Oxford, Oxford University Press)
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月刊自治研 vol.47.No.547
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ネットワークとしての家族(吉田あけみ・山根真理・杉井潤子編著)(ミネルヴァ書房) (所収)
ページ: 41-55