研究課題
基盤研究(B)
本研究は、AFTA・WTO加盟という経済統合におけるCLV(ベトナム・ラオス・カンボジア)の企業経営の特徴と変化を2005年〜2009年に渡って指摘した。本研究は、3カ国を企業レベルで同時期に調査したに特徴がある。本研究は、経済発展の「起爆剤」として証券取引所の開設が重要な役割を果たしていることが認識できた。ベトナムは2007年1月にWTO加盟を果たし、これまでの低コストで豊富な労働力を特徴とした発展途上国から、生産性向上と品質改善を課題とする中進工業国に変化した。ラオスでは、東西経済回廊など陸路のインフラが発展し、さらにタイを母工場とする衛星工場の操業中である。鉱物資源の輸出と国際観光の増加によって「オランダ病」の懸念がある。カンボジアでは、縫製業企業が輸出を急増させたが、その企業は二極分化しており、生産性と品質の低い企業は廃業が進んでいる。他方、プノンペン経済特区が開発され、広く製造業企業の投資促進が期待されている。ベトナム企業は積極的にラオス・カンボジアに投資を進めている。それと同時に中国の雲南省の企業もCLVに投資している。このようにCLVは、東アジアにおいて大きな成長センターである。日本は、これまでCLVに対する最大のODA供与国であり、さらにベトナムとは2008年にEPAを締結した。両国の経済関係の発展が期待される。これに対して、ラオスとカンボジアに対する日本の民間企業の投資の増加が期待される。これによって日本が、このCLVの経済発展にさらに貢献するであろう。その契機は、2010年にラオスと2009年にカンボジアで計画されている証券取引所の開設と思われる。これは韓国証券取引所が開設を支援している。すでに株価の乱高下を経験したベトナム証券市場が、これら2カ国の市場運営や株式投資にとって良い教訓になるであろう。今日の世界同時不況の中で、CLVの経済成長力は2009年において少なくとも5%以上は期待できる。CLVの経済成長と企業活動の発展は今後も注目される。その成功が「アセアン共同体」の成功を左右するからである
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