研究課題
本研究は、日本、韓国、台湾の液晶産業の戦略の違いと、現在の競争力の源泉について分析した。日本液晶産業については、シャープへのインタビュー調査およびシャープの最新生産ラインおよび「クリスタルバレー構想」等の調査を行った。この結果、日本の液晶産業を牽引してきたシャープの液晶誕生、製品化、事業化、産業化の過程及び液晶事業戦略について明らかにすることができた。この調査を踏まえ、アーキテクチュアの観点から、液晶産業が「擦り合わせ型(統合型)」産業であることを提案した。また、その製品として、テレビ用液晶と携帯用液晶は「擦り合わせ型」製品であり、パソコン用液晶は「モジュール化」が進み「コモでティ化」している。この液晶産業が「擦り合わせ型」産業であることが、アジアのみに液晶技術移転され、「モジュール型」産業に強い米国には移転されなかった原因であると考えている。また、LGPhilips社やサムスン社等の調査を行うと共に、韓国での液晶会議に出席し、情報収集した。また、日本、韓国、台湾のFPD産業に関する多数のセミナーに参加し情報収集し、韓国、台湾の液晶産業の特長を明らかにした。この結果、韓国、台湾が日本の液晶産業を追い抜いた最も大きな原因は、投資戦略にあることを明らかにした。日本は前期の利益に影響された投資戦略を取るが、韓国は長期ビジョンに基づいた投資戦略であり、台湾は外部資金も利用した積極的な投資戦略を取るという違いがある。これらの研究から、日本の競争力強化には、研究から生産まで、材料、部材、装置メーカーと「擦り合わせ」を行う等の日本型技術経営(Japanese Management of Technology ; JMOT)が必要であると提案した。今後、更に日本、韓国、台湾の液晶産業を調査すると共に、日本の液晶産業の競争力を強化するための戦略を詳細に検討していく。
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CIAJ JOURNAL(情報通信ネットワーク産業協会 月刊誌) 第46巻4号(近刊)
研究・技術計画学会 講演要旨集 2
ページ: 809
Proceedings of PICMET'05 (Portland International conference on Management of Engineering and Technology) HD-06(CR-ROM)
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