研究課題
本研究は、日本、韓国、台湾の競争戦略の違いと、現在の競争力の源泉について分析することにより、日本の競争力を強化するための戦略を明らかにすることを目的とする。昨年度は、韓国、台湾が日本の液晶産業を追い抜いた最も大きな原因は、投資戦略にあることを明らかにした。また、アーキテクチャの観点から、液晶産業と半導体産業を比較分析し、液晶産業が「擦り合せ型」であること、この「擦り合せ型」アーキテクチャがアジアに適合していることが、液晶産業がアジアでのみで盛んである理由であることを明らかにした。今年度は、日本液晶産業の強みである液晶生産装置メーカーの戦略について調査した。また韓国、テグで行われたIMID/IDMCO6国際学会・展示会に参加し、韓国液晶産業について調査した。また台湾の液晶産業について、AUO、工業技術研究院、精華大学、交通大学等を調査したそして日本、韓国、台湾での調査を踏まえ、昨年の研究実績を発展させ、液晶製品のアーキテクチャを分析し、テレビ用液晶および小型液晶が「擦り合せ型」であり日本が強く、パソコン用液晶が「モジュール型」であり台湾が強いこと、つまり液晶製品のアーキテクチャがアジア各国の競争力に影響していることを明らかにした。そして、シャープ亀山工場の事例を踏まえ、クローズド・イノベーション・ネットワークにおける「暗黙知」の「擦り合せ」が、液晶産業における日本の競争力の源泉であることを提示した。またこの競争力を強化するための戦略も提示した。しかし近年液晶産業を牽引する製品がパソコン・モニターから液晶テレビに代わった。このため、ソニーはサムスンと合弁会社を設立し液晶パネルの安定供給をバネに世界のシェアを維持している。一方、シャープは液晶テレビの国内シェアは高いが国際シェアは低く、グローバル戦略を転換した。このことから液晶テレビにおけるグローバル戦略が今後の研究課題である。
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Proceeding of The global Movements in the Asia Pacific Conference.Ritsumeikan Center for Asia Pacific Stusies, Oita Nov.17-18(各別冊)
Proceeding of The R&D Management Conference Taiwan 2006, Taipei & Hsinchu, Nov.8-10,2006,Taiwan (CD-ROM)
研究・技術計画学会講演要旨論 1
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Proceeding of Future Technology Research Conference, September 21, 2006, Taipei, Taiwan
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Proceeding of ISPIM 2006,(International Society of Professional Innobation Management), 11-14, June, 2006, Greece (CD-ROM)