研究概要 |
研究年度の最終年度に当たる平成19年度は、日本・中国・アメリカの3カ国における質問票調査の実施およびフォローアップ、データ処理および分析、論文執筆および国際カンフアレンス・ジャーナルへの投稿を行なった。 調査の結果、日本のベンチャー企業計247社(うちメーカー184社、サービス業63社)、中国のベンチャー企業222社、アメリカのベンチャー企業143社からの有効回答を得た。各国における最低2回のフォローアップを含め、2007年10月に3カ国でのデータ収集がすべて完了した。その後はデータ分析と論文執筆に専念した。 海外協力研究者のマイケル・ソン教授は,アメリカと中国におけるデータ収集に多大な協力を頂いたものの,残念ながら個人的事情により論文執筆には参加不可能となった。そのため、将来論文を執筆する場合は,相互の研究上の貢献および科学研究費への謝辞を記載することを契約として定め,研究成果は別々に発表するということで合意した。 研究代表者の川上は,2008年度中に,本研究に関心を持つ複数のアメリカ人研究者と共著で論文を執筆し、Journal of Marketing, Journal ofthe Academy of Marketing Science, American Marketing Association 2008 Summer Educators Conferenceに計4本の英語論文を提出した。うち2本は8月にサンディエゴで報告の予定である。 それぞれの論文のテーマは「日本のベンチャー企業における知識の冗長性と市場情報の利用および事業成果との関係」「日本のベンチャー企業における市場調査活動のあり方と事業成果との関係」「ベンチャー企業における組織の公式化と市場情報の利用および事業成果の関係に関するアメリカ・中国・日本の国際比較」「中国のベンチャー企業における市場志向の実現とその規定要因」である。 ベンチャー企業における市場情報の利用を実証的に検討した研究は、それ自体、世界的に見ても新規性が高い。加えて日本のみならず3カ国での比較研究を実現した点で、本研究は、理論的にも実証的にも先行研究に十分貢献しうるのものとなったと考えられる。 なお,これらの研究成果は現在主としてアメリカのジャーナルで審査中であり,場合によっては審査過程に数年を要する。ジャーナルの規定で公刊されるまで他での公刊はできないため,研究成果の公表は,その期間差し控える。
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