研究分担者 |
水野 一郎 関西大学, 商学部, 教授 (70174034)
水島 多美也 中村学園大学, 経営経済学部, 准教授 (80299693)
澤邉 紀生 京都大学, 経営管理大学院・, 教授 (80278481)
丸田 起大 九州大学, 経済学研究科, 准教授 (70325588)
堀井 悟志 愛知産業大学, 経営学部, 講師 (50387867)
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研究概要 |
前年度に提示した次世代管理会計の特徴に対応する形で,日本企業における管理会計実践の調査を行った。日本企業においては,投資経済計算の方法として,回収期間法が利用されており,貨幣の時間価値を考慮しないとされていることから理論的には劣っているとされているが,実際には新日本製鐵株式会社で利用されている回収期間法が貨幣の時間価値を考慮した割引回収期間法であることが明らかになった。また,次世代管理会計研究を進めるうえで,実践的知識と科学的知識を結びつける臨床的知識の蓄積が重要であるが,その一研究方法としてケーススタディの意義について検討を行った。まず,ケーススタディは4つの類型(先端ケース,バリエーション増大ケース,反証ケース,パラダイム的ケース)に分類可能であり,複雑な現象を理解するためのツールとしての価値を持っており,ケースの持つ鮮明さが実務家への重要な洞察の伝達方法を改善しながら,理論的課題を劇的に表現することもある。そして,特定のコンテキストにおける実例を調査することにより,実務家の学習訓練や,ひいては実践智の確立へ向けた貢献を果たすことができることを明らかにした。さらに,ケーススタディに対する,その科学性や有効性についていくつかの懸念が示されているが,それらは5つの誤解(ケーススタディは科学的知識を得るための前提段階である,無-理論的,理論に都合の良いケース,再現性の低さ,無-一般化可能性)としてまとめることができ,ケーススタディの妥当性を損なうものではないことを明らかにした。
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