研究分担者 |
薄井 彰 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90193870)
乙政 正太 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60258077)
佐々木 隆志 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (10235252)
大日方 隆 東京大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (20224305)
川村 義則 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (60247244)
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研究概要 |
われわれは,科学研究費補助金を用いて2006年度に日本の上場企業を対象にして,内部統制と監査の品質に関するアンケート調査を実施した。しかし,この調査はカネボウとライブドアの粉飾決算が明るみに出ていない時期のものであり,これらの事件が社会問題となった後では,企業の経営者の意識は大輻に変化したものと思われる。そこで本年度は第1に,2006年度の調査と同様のアンケートを実施した。この調査の中心は佐々木隆志氏(一橋大学)と須田一幸である。第2に,同様の調査をアメリカの企業を対象にして行った。これは須田一幸と研究橘力者の中島真澄氏(福島学院大学・コンバース大学)が中心になって実施された。これらの結果,(1)日本企業の経営者における内部統制に対する意識と監査の品質は,2005年から2007年にかけて大きく変化した,(2)日本とアメリカの企業経営者における内部統制に閥する意識ならびに監査の品質は,いくつかの点で異なるということが分かった。この分析結果は,2008年9月に開催される日本会計研究学会で報告することになっている。 また,われわれは2007年に行った新株予約権戻入益情報の衝値関連性の分析を,今年度も継続して実施した。この分析は,野口晃弘氏(名古屋大学)と乙政正太氏(関西大学)および須田一幸が行った。分析の結果,新株予約権戻入益を含む利益情報は株式市場で割引いて評価されていることが明らかになった。これは,新株予約権戻入益を損益計算害に計上すべきではなく,むしろ資本取引として認識すべきことを示唆している。この分析結果は,2008年4月に開催されるEuropean Accounting Associationで報告ずることが認められた。2006年から2007年にかけて行った研究の成果をまとめ,須田一幸編著『会計制度の設計』(白桃書房)を2008年2月に刊行した。
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