研究課題
本研究は、イ)政治的変動期(日本は終戦直後から1950年代、韓国は1980年代後半から1990年代まで)における労働協約の成立・変化の過程を観察し、ロ)雇用の諸慣行と企業別労使関係がどのような背景のもとでどのような労使の意思決定プロセスを経て形成・変容されたかを分析することを通じて、ハ)各社会における労使の「秩序形成」過程の特徴を検討し、かつ固有の課題を析出することを目的とする。平成18年度においては、前年度に引き続き、(A)労働協約の統計分析と、(B)ケース・スタディーを同時に進めた。(A)においては日本の場合、労働協約のコーディングを終え、データの入力作業を完了した。それをふまえ、労働協約の統計処理と1次分析を行った。韓国の場合、労働協約の収集を推し進めるとともに、共同研究者との協議のうえ、すでに出された労働協約分析資料の収集にも努め、日韓の比較分析ができるように協約データをそろえる作業を行った。なお、可能な範囲で両国の労働協約の特徴を析出し、その時系列的なトレンドを明確化する作業を遂行した。(B)においては、引き続き自動車、造船、鉄道を対象に調査を行うほか、金融に関しても調査を本格化した。日本のトヨタ自動車、日産自動車、韓国の現代自動車、韓進重工業、韓国鉄道、国民銀行の関係者に深層面接法による聞き取り調査を行った。調査に当たっては、いわゆるキーパーソンを対象として、労使それぞれの行動様式の特質についてまで把握ができるように努めた。なお、韓国の全国金属労働組合と全国金融産業労働組合、韓国非正規労働センターなどをも調査し、企業別労使関係を取り巻く社会経済的環境や関連諸制度の意味に関しても分析ができる条件を整えた。
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社会政策学会誌 第18号(近刊)
国際労働ブリーフ(韓国労働研究院) Vol.5,No.4(近刊)