本研究プロジェクトは、これまでの研究では区別して扱われることの多かった社会運動、市民企業、NPOなどの交錯する社会活動の圏域を、真の都市再生を進めるための「市民エージェント」の創出基盤としてとらえ、その具体的な成り立ちを実証的に解明することを課題としている。 初年度にあたる本年度は、東京を舞台に、1)こうした市民エージェントがどのような社会的背景と個人的キャリアの上に誕生しつつあるのか、2)市民エージェント相互のネットワークは、どのような構造をもち、どのような資源とメディアによって支えられているのか、3)市民エージェントが切り開く活動世界の展開を阻害するものは何か、またその活動が抱える問題点と限界とは何か、を具体的に検討していくため、次の基礎作業を実施した。 第1に、東京都を中心とした首都圏で活動する社会運動、市民企業、NPO全体の規模とその布置を明らかにするため、刊行資料、関連アーカイブス、ボランティアセンター資料などを活用して、団体の収集・リストアップ作業を行った。その結果、これまで約5000の団体情報が収集され、それをデータベース化した。 第2に、次年度に予定されている団体向け質問紙調査に向けて、上記団体に関する分析枠組の検討を研究会(計15回開催)の場で行った。またこの過程で、典型的な団体のメンバーに対するインタビュー調査を実施した。 第3に、市民活動の基盤となる都市公共空間の現状を明らかにするため、ストリートの空間構成とその社会的管理について実証研究を行った。その上で、渋谷を舞台にした研究成果を報告書として印刷した。
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