近年、児童の社会的養護を取り巻く環境が変化し、施設養護を担ってきた児童養護施設がイノベーションを求められている。ファミリーソーシャルワーカー(IFSWer)の配置は、そうした期待の表れと考えることができる。本研究の目的は、この期待に応えうるファミリーソーシャルワーク(IFSW)実践のための実践モデル(practice model)を研究開発することである。開発は芝野(2002)のM-D&Dの手続きに沿って実施し、研究期間の最終年度である平成19年度までに、フェーズIの問題の把握、フェーズIIの実践モデルの叩き台の開発、フェーズIIIの点検と改良を終えた。平成17年度の量的調査結果の因子分析によって抽出されたIFSWの4役割群と、その役割群に基づき平成18年度に行った実践モデルの基本設計に従い、平成19年度は汎用データベースソフトであるFile Maker Pro 9を用いて実践モデルの試行版を開発した。児童相談所からの措置を受け、児童自立支援計画(CBIP:Child-Best-Interests Plan)策定から、(1)家族再統合、(2)養子縁組、(3)自立という3方向へと進むフローをプログラムし、ナビゲーションによってサポートされたIFSWerが援助の進行にしたがって入力する援助活動がデータベース化されるとともに、ケース検討や統計資料として必要な情報を所定の様式の形でプリントアウトできるシステムとした。グラフィック・インターフェースや入力の不具合(バグ)などを試行によって検討・改良し、最終的な叩き台とした。詳細は別冊の研究報告書に譲る。今後、研究期間終了後もフェーズIVの普及と誂え(カスタマイズ)を児童養護施設との協働によって進めて行きたい。 平成19年度の研究協力者は、石田賀奈子・原佳央理・直島克樹・山岡美智子・樋口純一郎である。
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