研究課題/領域番号 |
17330139
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
針生 悦子 東京大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (70276004)
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研究分担者 |
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60255601)
岡田 浩之 玉川大学, 工学部, 教授 (10349326)
梶川 祥世 玉川大学, 学術研究所, 専任講師 (70384724)
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キーワード | 言語発達 / 語彙獲得 / 動詞学習 / 固有名詞 / 文法獲得 / 助詞 / 乳幼児 / 言語比較 |
研究概要 |
「名詞-動詞プロジェクト」では、英語、中国語、日本語を母語とする子どものデータの分析を終え、どの言語でも名詞の意味推論は動詞の意味推論より早い時期から正確に行えるようになること、また、動詞の意味推論にあたって与えられた語を動詞かどうかを見極めるための手がかりは言語によって異なっており、それぞれの言語を学ぶ子どもはそれぞれの言語において信頼できる手がかりに注意を向けるようになること、などを見いだした。これについては現在、投稿準備中である。 「固有名詞プロジェクト」では、初年度の経過より、この問題の検討にintermodal preferential looking法を用いるのは適切でないと考えられたため、こちらのラベルづけに対して子どもがどのような範囲の対象を選択をするかを検討する方法に切り替え、データを収集中である。 「動詞項構造プロジェクト」では、項構造(自動詞文対他動詞文)や、格標識、語順についての理解の発達に注目した。これをめぐっては、英語圏を中心に、項の数が1つなら自動詞文で非因果的事象を表し、項が2つなら他動詞文で因果事象を指すことの理解は、非常に早い時期から見られるといったことが報告され、このような知識は生得のものだと主張する研究者もいる。日本語は、日常会話で項がよく省略される言語であり、このような言語においても子どもが早い時期からこのような知識を示すのかどうかを検討することは、この議論において大きな意味を持つ。今年度、2歳-6歳の子どもを対象に検討した結果、項の省略が(特に子ども向け発話では頻繁に)なされる日本語においても、2歳後半には子どもはこのような知識を持っていること、などが明らかになってきた。 「助詞プロジェクト」では、日本語においては助詞が、語のタイプ(品詞)を見極める上でも,項構造を理解する上でも,助詞が重要な手がかりとなるはずであることにかんがみて、助詞の聴き取りはいつごろから可能なのかを明らかにするため、0歳-1歳台の乳児を対象とした実験方法を考案し、現在データを収集中である。
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