研究概要 |
ECBQ日本版の3回の縦断研究のデータを米国の結果と比較しながらまとめた。18尺度得点の因子分析は,Putnam et al.(2006)のsample 2(縦断標本)の因子負荷行列をターゲット行列としたプロクラステス回転を実施した。その結果,Perceptual Sensitivityの適合がどの調査時点の標本でも悪かった。しかしながら,全体としてみるならPutnam et al.(2006)において見出されたNegative Affectivity,Surgency/Extraversion,Effortful Controlの3因子構造は比較的よく再現されていると考えることができる。また発達的変化の傾向は,統計的な有意性を別にすれば,Putnam et al.(2006)のsample 2の縦断的な発達の変化の傾向と同じであった。 ECBQ日本版と,同時に施行した"子どものあやし方調査"ならびに"遊び調査"の関係を検討したが、とくに有意な結果は得られなかった。 一方,彼らの気質と注意機能の関係について、眼球運動と行動観察、気質質問紙(IBQ-R日本版)の尺度得点を指標に検討を行った。その結果、注意の解放課題のオーバーラップ条件において反応が速い乳児は、見知らぬ人に対して行動的抑制傾向が高かった。また行動的抑制傾向は、IBQ-RのFalling Reactivity/Rate of Recovery from Distressと正の相関を示した。そのほか、オーバーラップ条件での反応数は、IBQ-RのActivity levelならびにPerceptual sensitivityの尺度得点と正の相関を示した。これらの結果は、注意機能と情動制御の関連を示唆すると考えた。
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