本研究では高次視覚と行為選択の関係に関する研究に取り組んだ。オブジェクト表象や反応表象が存在する中で、どのような選択が行われるかについて調べた。行為選択に関しては、刺激反応適合性や反応適合刺激の見落としの特性を明らかにすることにより、我々の保持表象との関連を検討した。視覚的注意とオブジェクト認知を不可分の視覚過程としてとらえ、更に行為選択まで含めたプロセスとして総合的仁取り扱った。高次視覚から行為選択に至る過程の解明を目指し、刺激反応適合性と内因的注意との関係、オブジェクト統合過程の脳機能計測などの研究を進めた。刺激と反応に直接の対応関係がある場合に優位であるという刺激反応適合性効果は、頑健な現象であることを明らかにし、このような刺激反応適合性が内因的な注意によって変動することを確認した。さらに、視点による好悪が、典型的見えと角度評定の正確さに依存することを突き止めた。また、オブジェクト統合過程に関してfMRIを用いた脳機能計測で明らかにした。特に、記憶との関連を検討するため、時間要因を操作した実験を行った。研究成果を国内外の学会で研究発表するとともに、学術論文として国内外の論文誌に投稿し、Psychonomic Bulletin&Review、Psychological Research、Perception&Psychophysics、心理学評論などに掲載され、高い評価を受けた。
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