研究概要 |
ストレスに曝された妊娠母親から生まれた仔ラットとストレス非曝露仔ラットのそれぞれの脳の(1)細胞新生能に違いがあるか、また(2)分泌されるコルチコステロンの量に違いがあるか,さらに(3)条件性場所選好を指標として,ドーパミン作動性薬物報酬(コカイン)に対する反応性に違いがあるかの3点について検索した。 妊娠13日目から19日目の7日間にわたって、150Wの照明下で0分(非ストレス群)、または45分(ストレス群)の拘束ストレスを1日3回母親ラットに与えた。生まれた仔ラットについて,(1)生後36-40日齢のところで新生細胞を標識するプロモデオキシウリジンを腹腔内投与した。翌日取り出した脳の凍結標本を作成して、免疫組織化学法により、辺縁系の新生細胞(BrdU発現細胞)数をカウントした。また,(2)同日齢の仔ラットの体幹血を採取してコルチコステロン濃度を測定した。さらに、(3)白,黒,中央灰色の三部屋からなる場所選好テスト箱を用い、装置馴化の翌日プレテストを行い被験動物の各部屋に対する選好のベースラインを測定した。プレテストの翌日から1日2回(午前と午後),3日間にわたってコカインによる場所条件づけを行った。場所条件づけ期間終了の翌日に、プレテストと同じ要領で場所選好テストを行った。 その結果,ストレス群の仔ラットでは,コントロール群と比べ,新生細胞数の減少と血中コルチコステロン濃度の上昇傾向を認めた。しかしながら,コカインによる場所選好成績には両群間に明らかな差は認められなかった。
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