研究概要 |
妊娠時にストレスに曝された母親から生まれた仔ラットとストレス非曝露仔ラットのそれぞれの(1)自己刺激行動を指標にして,報酬閾値に違いがあるか,また(2)移所活動を指標にして,ドーパミン作動薬に対する反応性に違いがあるかの2点について検索した。 妊娠13日目から19日目の7日間にわたって,150Wの照明下で0分(非ストレス群)または45分(ストレス群)の拘束ストレスを1日3回母親ラットに与えた。生まれた雄の仔ラットについて,(1)ペントバルビタール麻酔下で刺激電極を自己刺激誘発部位である内側前脳束に植え込み,術後8日目に自己刺激行動を習得させた。典型的な反応パターンを示したコントロール(ストレス非曝露)群とストレス曝露群のラット(それぞれ8匹)について,刺激強度を変えながら反応数-電流値曲線を求め,二群間で報酬閾値を比較した。その結果,報酬閾値(電流値)に群間差は認められなかった。しかしながら,その後に行った反応数-周波数曲線による報酬閾値の経日的変化については明らかな群間差が認められた。すなわち,コントロール群の報酬閾値は7日間にわたって安定した経日パターンを示したが,ストレス曝露群では,日間の変動が大きく,極めて不安定な経日パターンを示した。また,(2)アクリル箱(30×30×35cm)の中でのコカイン誘発性移所活動量を7日間にわたって調べたところ,コントロール群(n=10)のラットについては比較的安定した経日変化が認められたが,ストレス曝露群(n=12)においては再び,日間変動の大きい,極めて不安定な経日変化が観察された。
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