研究概要 |
ストレスに曝された妊娠母親から生まれた仔ラットとストレス非曝露仔ラットのそれぞれが成長後に示す側坐核神経伝達物質(ドーパミン,グルタミン酸およびGABA)の量とコカインに対する反応パターンに違いがあるか否かについて検索した。 妊娠13日目から19日目の7日間にわたって,150Wの照明下で0分(非ストレス群)または45分(ストレス群)の拘束ストレスを1日3回母親ラットに与えた。生まれた雄の仔ラットについて,ペントバルビタール麻酔下で報酬機能に密接に関与する脳部位の一つである側坐核にマイクロダイアリシス用カニューレを留置した。術後1週間の回復期間を置き実験を行った。実験当日の朝にガイドカニューレの中にマイクロダイアリシスプローブを挿入した。人工脳脊髄液を2μ1/分の流速で持続的に灌流した。透析液サンプルは20分間隔で行い,1時間(3サンプル)の基礎値を測定後にコカイン(10mg/kg)を投与した。投与後さらに3時間(9サンプル)の合計4時間にわたって12サンプルを回収した。マイクロダイアリシスにより回収した透析液中のドパミン,グルタミン酸及びGABA濃度を,基礎値とコカイン誘発反応に分けて,ストレス群と非ストレス群で比較した。 その結果,側坐核細胞外ドパミン,グルタミン酸およびGABA濃度の基礎値については,ストレス群と非ストレス群の間で差は認められなかった。また,コカイン投与によりドパミン濃度は著しく増加したが,増加量についても両群間で有意な差は認められなかった。
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