研究概要 |
本研究は,地域における教育・福祉支援主体相互(機関)の連携とネットワークづくりの現状と課題,および連携に関わる専門性とその形成方途を明らかにすることを目的とするものである。 本年度は3年計画の2年目として,第1に昨年度に引き続き「連携」についての歴史的および理論的検討を行い,第2に種々の教育福祉機関における連携実態に関する全国的な実態調査を実施し,第3に来年度の支援主体養成カリキュラム開発に向けて資料収集と実態調査を行った。 第1の点では,関係資料に基づき,教育と福祉の「連携」について,社会教育学,教育福祉論,教育社会学,教育史,保育学の視点から理論的到達点および課題について明らかにした。 第2の点では,全国の児童家庭支援センター,児童養護施設,定時制高校,自治体の教育委員会,保育施設,職親等に関する実施し,教育福祉関連諸領域における連携の実態について明らかにした。 第3の点では,学習を支援する主体形成に関して,教員や保育士,生涯学習活動と大学や保育者養成校ついても調査を行った。 以上を通じて, 第1に,教育福祉連携を必要とする根拠として,貧困や差別,生涯に関わる古典的教育福祉問題と,不登校や高校中退,特別支援,学力問題に関わる現代的教育福祉問題と,が存在し,それぞれに特徴的な機関連携ニーズがあること 第2に,わが国の現実が,教育福祉連携の必要と同時に,連携の障害をも生み出していること 第3に,それゆえ教育福祉機関連携を進める教育支援・発達支援の担い手には,豊かな教養に裏付けられた高度な専門性が求められていること 等が示唆された。それらの成果は,中間報告(2)「地域の教育福祉諸機関の連携に関する総合的研究」(田丸ほか,2007)にまとめた。ただし,支援者養成の課題の整理とカリキュラム開発とについては,今後の研究によって明らかにするものである。
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