研究課題/領域番号 |
17330190
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西島 央 東京大学, 大学院教育学研究科, 助手 (00311639)
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研究分担者 |
藤田 武志 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70324019)
矢野 博之 大妻女子大学, 家政学部, 専任講師 (40365052)
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キーワード | 部活動 / 生涯学習・生涯スポーツ / 社会教育・社会体育 / 生徒指導 / 顧問教師 / 外部指導者 / 家庭の経済的背景 |
研究概要 |
本研究は、現在進行中の教育の自由化や学校のスリム化といった改革が、教育課程の変化とともに、学校組織や学校文化、さらには地域社会にどのようなインパクトを与えるかという問題を、中等教育の部活動における変化を通して解明し、個々の学校や地域社会におけるそのインパクトの対処法を臨床教育学的に提案することを目的として取り組んでいるものである。 平成18年度は、次の二つの研究に取り組んだ。 第一に、中学生と高校生に対して13年度と16年度に行った質問紙調査による比較調査を分析した。調査の主たる項目について基礎的な整理を行った分析・考察は、『部活動』(学事出版)にまとめた。 また、高校生対象の調査に関して、比較可能なサンプル数の多かった静岡県を取り上げて、生徒の家庭の経済的な側面と、部活動と社会教育・社会体育への加入状況から、部活動を継続しているのは誰かを分析・考察した。その結果、(1)学習指導要領改訂前後で、部活動加入率はやや減少していること、(2)スポーツ・文化活動への志向が高い、または家庭の経済的な背景に恵まれた生徒は、部活動から離脱しても、学校外のスポーツ・文化活動へ加入する傾向がみられるが、志向が低い、または家庭背景に恵まれない生徒は、活動そのものから離脱する傾向がみられることなどが明らかになった。以上から、スポーツ・文化活動の機会の格差が社会階層と連動して進行していく可能性を示唆した。 第二に、調査地としている東京都、新潟県、静岡県の教育委員会を対象に、今後の部活動のあり方について、顧問教師の勤務の問題と外部指導者の導入に焦点化して聞き取り調査を行った。その結果、学習指導要領の範囲外にある部活動を勤務に入れることの難しい一方で、現実として教師が部活動の指導を行っており、それが学校の教育活動の一環として、生徒の生活指導や進路指導のために有効な役割を担っていると捉えられていることが明らかになった。
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