研究課題/領域番号 |
17330200
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
岡 典子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20315021)
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研究分担者 |
中村 満紀夫 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (80000280)
米田 宏樹 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (50292462)
佐々木 順二 筑波大学, 心身障害学系, 準研究員 (20375447)
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キーワード | 特殊学級 / 障害カテゴリー / 専門性 / カリキュラム / シティズンシップ / 都市横断比較 / インクルーシブ教育 / 入所施設 |
研究概要 |
本研究は、我が国が今後、特別支援教育の理念、制度、方法論をいかにして構築するべきであるのかについて示唆を得るため、既に過去において類似の経験と教訓とを蓄積してきたアメリカ合衆国を対象として、同国の統合教育環境下における特殊学級の展開と変容の過程ならびにその教育的意味を、障害種別や都市別比較による横断的検討を中軸としつつ、歴史的観点から解明することである。 昨年度は、平成17年度に資料収集を行った中西部を中心とする各都市について、(1)障害カテゴリー別による都市横断的比較、(2)それぞれの都市における社会・文化・経済的条件が特殊学級の展開にもたらした影響、という2つの視点から詳細な検討を進めた。 それぞれの障害カテゴリーが、特殊学級に対してどのような教育的意義を期待したかは、各障害カテゴリーが当時のアメリカ社会において市民権を得るための条件が何であったかという問題に連続する。たとえば、視覚障害では、他の障害カテゴリーとは異なり、特殊学級の意義として、視覚障害児独自の教育的ニーズよりもむしろ、晴眼児や地域コミュニティとの相互交流・共感・理解が最優先されたが、それは、視覚障害者がシティズンシップを獲得するための最大要素が職業自立であり、それは晴眼者あるいはコミュニティとの相互理解によって獲得されるという教育者側の認識・期待を反映したものであった。また、都市による特殊学級の展開状況の違いについては、たとえば、障害児を対象とする教育が、先駆的に蓄積されてきた地域ほど、むしろ、統合的環境への移行には慎重であったという傾向が示唆された。
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