研究概要 |
今年度は,4年間の計画の中の,「研究1:認知神経心理学的読み評価法の試案作成」を遂行した。 【研究1の内容】 1.アメリカおよびイギリスの読み障害の評価バッテリー(4種)を入手し,内容の比較検討を行った。認知神経心理学的な評価法は,海外でも実用化されていないことが明らかとなった。 2.発達性純粋読字障害の症例の症状を詳細に検討し,日本特殊教育学会で発表した。症例の症状は,通常使用される読みの評価バッテリーではどの部分に問題があるのかは明らかにできなかった。そこで,認知神経心理学的な言語モデルに基づく成人用SALA失語症検査を用いて,障害のある部分を特定した。 3.上記のSALA失語症検査による評価法をもとに,児童を対象とした視覚的分析プロセスを中心とした認知神経心理学的評価バッテリー(試案)を作成した。 4.評価バッテリー(試案)を読み障害児と健常児に施行し,その相違点を明らかにした。さらに,読み障害児群もつまずきの種類によってタイプ分類できることを明らかにした。 以上の結果を,今後論文等にまとめて成果発表する予定である。 【その他】 5.研究協力者(大石敬子・元宇都宮大学教授)と共に,学習障害児相談会(福井,主催:平谷クリニック)に参加し,学習障害児の実態評価と分析方法について検討した。 6.発達心理学会のシンポジウム(言語発達分科会連続企画シンポジウム「言語発達の根幹を問い,研究の視野を広げる」第6回「読み書き障害とは何なのか?:研究・実践の現状と課題」)に指定討論者として参加し,読み障害に関する情報収集および情報交換を行った。
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