研究概要 |
1.学習障害(読み障害)児の読みに関するデータ収集 就学前の幼児〜中学生までの幅広い年齢の対象児に対し,試作した読み障害の評価を試行し,データを継続収集した。その結果は,前年度と同様のものが得られた。 (1)ひらがなの評価は,文字と音の連合につまずきを持つ幼児〜小学校低学年の児童のつまずきの原因を明らかにするために有効である。ただし,音韻意識の評価も同時に行う必要があることも明らかにされた。また,有意味語に加えて無意味語の音読を併せて行うことが,音と文字の連合に由来する読み障害の検出に有効である可能性が示唆された。 (2)漢字の評価は,小学校3年生以上の児童のつまずきの原因を明らかにすることが可能であると考えられた。しかし,漢字の評価には,さらに視覚的認知機能の評価およびより高度なレベルの漢字の評価が必要であることが,明らかにされた。 (3)中等度あるいは軽度の読み障害の検出のためには,より難易度の高いレベルの課題が必要であることが明らかにされた。 (3)中学生の学習支援のための読み障害の評価には,英語の課題も取り入れる必要があることが示唆された。 (4)就学前の幼児期の段階での読み障害の検出は,音韻意識の課題と視覚的認知機能の評価を併せて行うことで可能である可能性が示唆された。 2.評価バッテリーの作成 読み障害の評価のバッテリーの作成にあたり,認知神経心理学的な部分の評価に加え,音韻意識と視覚的認知機能の評価を加えた全体の項目を構成し,大学紀要に発表した。今後さらなるデータの蓄積が必要である。
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