研究課題/領域番号 |
17340008
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
都築 暢夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10253048)
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研究分担者 |
山崎 隆雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00312794)
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キーワード | p進コホモロジー / 過収束アイソクリスタル / 数論的D加群 / リジッドコホモロジー / 対数的増大度 / Dwork予想 / リジッド解析幾何 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
研究代表者の都築は、カン大学のD. Caro氏との共同研究で、K. Kedlayaによる志甫予想(過収束Fアイソクリスタルの準巾単予想)の解決をうけて、過収束Fアイソクリスタルが過収束ホロノミックな数論的D加群(したがってホロノミック)となることを証明した。過収束対数的微分加群に対するChristolの転送定理の相対化が一つの鍵である。Berthelotのホロノミー性の安定性予想より少し弱い過収束ホロノミー性の安定性を解決した。これにより、過収束ホロノミ一数論的D加群の圏が、過収束Fアイソクリスタルを含むコホモロジー的関手で閉じた十分大きな圏であることになり、p進コホモロジーの数論幾何への応用の準備ができた。また、都築はp進線形微分方程式の解の対数的増大度に関するDworkの予想「特殊点のNewton凸体は一般点のNewton凸体の上(端点は一致)にある」をパドバ大学のB. Chiarellotto氏と共同で研究した。昨年度までの研究で定式化した対数的増大度櫛とFrobenius傾き櫛の一致に関する予想からDworkの予想を導くために必要な技術的な問題を解決した。Dworkの予想の解決に向けた準備ができてきた。 分担者の山崎は局所体上の代数多様体のMilnor K群の研究を行い高次元類体論への応用を行った。連携研究者の中島と志甫はp進重み理論を構築し、志甫は相対的リジッドコホモロジー層の過収束性(Berthelotの予想)を若干の仮定の下で証明した。これらは、p進コホモロジーに対する基礎理論の整備に大きく寄与した。加藤は、リジッド幾何学の基礎付け、特に位相環論の技術的側面を進展させた。山内は、モジュラー性の研究に必要な局所体上の整係数p進Galois表現の解析のために、Fontaine-Laffile理論やディスプレイの理論の精密化を行った。p進的手法を用いたこれらの成果は、数論幾何の今後の展開のために有意義なものである。
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