研究概要 |
本研究は, 超平面配置の研究とその応用であるが, 特に, 鏡映配置、および, その多重配置を深く理解することを通じて、多重自由配置、および、自由配置の幾何学的・組合せ的意味を解明することを目標に研究し, 以下の実績を挙げた. 1. どのような重複度に対しても, 多重超平面配置になるような超平面配置にはどのようなものがあるか, という問に完全な回答を与えた. すなわち, そのような超平面配置(totally free arrangement)は, 本質的に2次元以下であることを示した. (Abe-Terao-Yoshinaga)これは, 自由多重超平面配置のひとつのextreme caseであり, 多重超平面配置の自由性を論ずる上で避けて通れない基本的な問題である. 2. Coxeter配置に対しては. 定数重複度の超平面配置の対数的微分の作る加群に接触度によるフィルター付けが入り, いわゆるHodge filtrationと一致することは, 研究代表者により証明されているが, 実は, このフィルター付けが負の重複度を持った多重Coxeter配置についても構成できることを示した. (Abe-Terao)これにより, すべてのCoxeter配置について, contact-order filtrationとHodge filtrationを結ぶ関係が明白になった. これは, Coxeter配置の多重自由性が, 負の重複度をも含めて, 多重自由重複度の言葉で明示的に記述されることを示している. 3. Coxeter配置に対して多重に接する微分加群に作用する原始微分の共変微分のずらし写像としての役割を決定した. 特に, 2. で述べた共変微分が, 多重超平面配置に極をもつ対数的微分型式全体の自己同型写像を与えていることを示した.
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