研究概要 |
昨年度に引き続き,共変関手としての同変チャーン類理論(スタックのチャーン類自然変換理論)の整備・拡張を進めている. (1)同変チャーン類理論の観点から,幾何的商X/Gとそのクレパント特異点解消のチャーン-マクファーソン類(とくに,射影曲面の対称積およびヒルベルト・スキームのチャーン-マクファーソン類に関する母関数公式)について研究を進めている(とくにバティレフのE-関数の議論のチャーン類版). (2)トム多項式の一般化としての同変セグレ類理論について,理論的整備と計算方法の確立を目指している-これは,孤立完全交差特異点のミルナー数やポーラー指数などの有効な計算方法を導き,関数芽・写像芽の分類理論に対する新しい(同変理論の観点からの)視点を与える.グロモフ・ヴィッテン不変量との関係も視野に入れている. (3)與倉昭治氏(鹿児島大:研究分担者)およびブラスレー(ルミニー研究所,マルセイユ),シュアマン(ミュンスター大)とは,彼らの「ヒルツェブルフ特性類およびモティビック・チャーン類」を同変理論の枠組みに拡張できないか議論し,今後の展開を模索している. 当科研費の主要な支出先は出張旅費および関連する研究者の招聘旅費である.4月に諏訪立雄氏(新潟大:研究分担者)と来日中のJ-P.ブラスレーを合わせて北大に招聘し,特性類の局所化および交差ホモロジーについて議論をした.7月には,来日中のD.マッセイ(ノースイースタン大,米国)を北大に招聘し,偏屈層と消滅サイクルに関する小セミナを行った.12月には,トム多項式の専門家であるM.カザリアン(ステクロフ数学研究所,ロシア)を3週間に渡って日本に招聘し,集中的なセミナーを北大,東大,京大,九大で行った.研究代表者(大本)も京大数理研において研究報告(題目:孤立完全交差特異点に対するトム多項式)を行った.
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