研究概要 |
本研究では, 特異チャーン類に関するテーマとして, 1. 代数的スタックに対するチャーン・マクファーソン自然変換 2. 写像芽の特異点論と一般化されたトム多項式 について研究を進めた. テーマ1では, 具体的な対象として対称積の(部分的)特異点解消に関する特異チャーン類を扱った. 特に, 代表者の先行研究における「対称積に関するオビフォルド・チャーン類の生成母関数公式」を下敷きにして, ヒルベルト・スキームのチャーン・マクファーソン類に関する生成母関数の指数型公式を得た(研究集会「特異点と多様体の幾何」(9月, 草津)で発表). 一般の曲面の場合では, ボアセールによる頂点代数公式を用いて与えられた指数型公式(2005)に一致する. ボアセールの結果と同じくまだ未知係数が完全に決定できていないため最終的な結果ではないが, 進むべき方向性は確認できた. テーマ2では, 孤立完全交差特異点のミルナー数や偏極指数などの局所不変量をしかるべきトーラス同変チャーン・マクラァーソン類の局所化として表す「トム多項式型公式」を提示した. また, 池田岳氏(東京理科大)と成瀬弘氏(岡山大)との協力で, 古典群の表現論におけるT-同変シューベルト類とトム多項式(退化集合公式)の対応を検討した. 特に, 両氏と12月にはRIMSに滞在中の組合せ的表現論と退化集合公式の専門家であるP. プラガッチュ氏とで集中セミナーを催し, シューベルト多項式とトム多項式に関する主要問題(正値性など)について検討した.
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