研究課題/領域番号 |
17340014
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉田 朋好 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60055324)
|
研究分担者 |
二木 昭人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90143247)
志賀 啓成 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10154189)
本多 宣博 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (60311809)
村上 斉 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (70192771)
小島 定吉 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (90117705)
|
キーワード | WZWモデル / 3次元多様体 / コンフォーマル・ブロック / 量子不変量 / 非可換テータ函数 |
研究概要 |
WZWモデルのコンフォーマル・ブロックはリーマン面上の階数2の安定ベクトル束のモヂュライ空間上の行列式直線束の正則切断の空間と同一視される。これらの正則切断は階数2の非可換テータ函数とよばれ、代数、幾何、数理物理などの各方面において極めて重要な役割をはたす。我々の主結果は、M.F.AtiyahとN.J.Hitchinによって提唱されたアーベル化の方法を発展させ、階数2の非可換テータ函数を、プリム多様体上で定義された古典的なリーマンテータ函数とテータ零値を用いて明示的に表示する公式を得たことで、研究発表論文欄に記した最初の論文に発表されている。この結果から共形場理論の種々の重要な性質を系統的に導き出すことが出来た。とくにコンフォーマル・ブロックに射影接続により不変に保たれる内積が入ることを証明できたことは特筆すべきことであると考える。A.Kirillovによりこのような内積の存在は最近証明されていたが、我々の方法はまったく異なるもので、とくにモヂュライ空間上の各点での内積を構成し、その積分によってコンフォーマル・ブロックの内積をつくるもので、より基本的なものであると言える。位相幾何学において重要な3次元多様体の量子不変量の研究への応用を考えるとき、このことは極めて本質的なこととなる。上に述べた階数2の非可換テータ函数の明示的な表示は具体的な計算にのるもので、これらのモヂュラー変換束が計算できる。さらにレベルkを無限大にした時の漸近挙動が、リーマンテータ函数の漸近挙動により明瞭にとらえられる。以上の研究成果は幾何学、複素解析学、数理物理などにわたる多くの共同研究者との討論、研究連絡の中で得られたもので、内外の研究集会への参加、文献の収集、招待講演などを積極的に行い、大変有意義な研究活動を行うことができた。
|