研究分担者 |
湯本 清文 九州大学, 宙空環境研究センター, 教授 (20125686)
武尾 実 東京大学, 地震研究所, 教授 (00197279)
加藤 天美 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (00233776)
堀田 武彦 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90222281)
松浦 真也 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助手 (70334258)
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研究概要 |
多次元の離散時間確率過程に対する非線形情報空間の生成系として,KM_2O-ランジュヴァン揺動過程に対する非線形情報解析を行い,新たな生成系を構成し,時系列の揺動項に潜む新たな非線形な構造を探すための理論的な研究とそれを実行するシステムを開発した. 時系列の異常性を定常性の破れと定義し,時系列の異常性の兆候を捉える異常性の検出Test (ABN)は大域的に発生する異常時刻を区別できない.その問題を解決するため,非線形予測誤差の挙動を計測するリスク関数を導入し,時系列の異常性を検証するTest (RSK)を提唱した.それを地震波・株価・クレアチニンの時系列に適用し,Test (ABN)での問題点が解消されることが分かった. 深部低周波地震,オーロラ,磁気嵐,大脳皮質脳波と音声の時系列に対して発見された分離性の数学的な構造を調べるため,離散時間確率過程の周波数域での表現定理を証明し,そこに現れるパラメータの違いによって,有限次元分布の対称性(があると分離性が成り立つ)が破れても分離性が成り立つ場合があることを示した.対称性のどのような破れであれば分離性が成り立つかを調べたい. KM_2O-ランジュヴァン方程式論の非線形予測解析を用いて,時系列の条件付分布密度関数を推定した.それを深部低周波地震波の時系列に適用したとき,条件付密度関数はS波が来てからの定常な時間域で興味ある挙動を示した.これは通常の地震波に対しては見られない.深部低周波地震波のダイナミクスの観点から徹底した解析を行いたい. 磁気嵐とオーロラの原因である太陽風の時系列に対しても分離性が現れるが,磁気嵐の分離性が現れる時間域と異なることを見た.即ち,磁気嵐で分離性が見られるのは磁気嵐が発生して定常性が成り立つ時間域であるが,太陽風では太陽フレアの影響がない観測時刻に対して強い分離性が見られ,太陽フレアの影響がある時間域では顕著な分離性が現れない点が異なる.徹底した解析を行いたい.
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