研究課題/領域番号 |
17340024
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松浦 真也 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70334258)
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研究分担者 |
湯元 清文 九州大学, 宙空環境研究センター, 教授 (20125686)
武尾 実 東京大学, 地震研究所, 教授 (00197279)
加藤 天美 近畿大学, 医学部, 教授 (00233776)
堀田 武彦 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90222281)
岡部 靖憲 明治大学, 理工学部, 特任教授 (30028211)
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キーワード | KM20-ランジュヴァン方程式 / 非線形情報解析 / Test(ABN-S) / Test(ABN-EP) / 分離性 / 深部低周波地震 / Nikkei 225 / 電磁波 |
研究概要 |
本研究の目的は、実験数学の指導原理である「データから法則、モデルへ」の姿勢で、複雑系現象の観測データのみから、解析に使う定理の前提条件を検証し、データの非線形構造を抽出し、時間発展の「モデル」を導くことである。それを支える数学理論がKM20-ランジュヴァン方程式論である。これまでに、時系列の定常性、異常性、決定性などを調べるテスト(Test(S)、Test(ABN)、Test(D)等)を提唱し、種々の時系列に適用した。特に、特殊な地震(深部低周波地震)を解析をし、「分離性」(奇数次の多項式型変換を施した時系列から元の時系列への因果の強さが、常に、偶数次の変換を用いた場合より強い)という性質を発見した。分離性は大脳皮質脳波などにも見られるが、通常の地震波や頭皮脳波にはなく、分離性を数学的に特徴付けることが、物理学的・脳科学的にも重要である。 3年計画の最終年となる本年度の研究では、まず、過去2年間の実データの解析結果を整理、確認、検証する一方、理論面では、分離性の数理的解析をより多面的に行えるようにするため、ブロックフレームの理論を構築した。ブロックフレームとは、信号処理などに用いられるフレームの概念を多次元に拡張したものである。フレームの理論そのものは、ある意味「線形」の理論と解釈できるが、多次元に拡張することで、非線形な数理的構造も扱えるようになり、これにより、分離性の解明にも応用可能となる。この他、KM20-ランジュヴァン方程式論の中心原理である揺動散逸原理と、数値解析の分野に現れるアルゴリズムの関係も解明した。これらの研究により、従来の確率分布の対称性や、周波数域での表現定理を用いた解析に加え、より多面的に分離性を解析することが可能となった。分離性の完全解明は、今後の課題としたいが、それに向けた大きな道筋ができたと考えられる。
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