研究課題/領域番号 |
17340041
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
利根川 吉廣 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (80296748)
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研究分担者 |
神保 秀一 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (80201565)
柳田 達雄 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80242262)
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キーワード | フェーズフィールドモデル / 変分問題 / 相分離 / 表面張力 / 確率偏微分方程式 / 曲率 / Allen-Cahn方程式 / Cahn-Hilliard方程式 |
研究概要 |
1.相分離現象をモデルとしたフェイズフィールド法の代表的な方程式の一つにCahn-Hilliard方程式がある。界面厚みを表すパラメターεを0に近づけるときに適当な時間スケールを導入すると極限では自由境界と化学ポテンシャルがMullins-Sekerka方程式を満たすことがある特別な場合は示されている。最小限かつ自然な一般の場合に同様なことはまだ示されていないが、証明のために必要な事はフェイズフィールド近似の極限で、自由境界の曲率と化学ポテンシャルを関係付けるGibbs-Thomsonの関係を示す事である。Roegerとの共同研究で、フェイズフィールドの枠組みで化学ポテンシャルに対応する量が、あるソボレフノルム(一回弱微分がp可積分、pは空間次元より大)でεに関して一様有界である場合には極限でGibbs-Thomsonの関係が成り立つことを示した(論文準備中)。残念ながらCahn-Hilliard方程式に応用するためにはpが空間次元以下である場合でもGibbs-Thomsonの関係を示す必要があり、引き続き研究を続行中である。 2.2つの同等な安定点を持つポテンシャルを外力項として持つAllen-Cahn方程式にノイズをつけた確率偏微分方程式を考える。大偏差原理に動機付けられたaction functionalの最小化問題に関して、ある特別な時空スケールのみで空間的非一様性が期待される。昨年度の研究ではその最小値の値を厳密に求める事に成功した一方で、最小解の決定(一意性)には至らなかった。今年度、空間1次元の場合のΓ収束極限は、核生成コストと界面移動コストの2つの和であることをReznikoffとの共同研究で厳密に示し、最小解を決定することに成功した(論文査読中)。
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