研究分担者 |
宍倉 光広 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (70192606)
荒井 迅 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (80362432)
稲生 啓行 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (00362434)
辻井 正人 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (20251598)
小川 知之 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (80211811)
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研究概要 |
今年度の研究成果は以下のとおりである: (1)國府はMichelson系と呼ばれる3次元の多項式ベクトル場の1パラメータ族に見られるヘテロクリニック軌道の無限回の分岐の集積現象を調べ、その組織中心を分岐理論的に明らかにした([1])。またその機構が実際にMichelson系において起きることを精度保証付き計算と位相的議論を用いて数学的に厳密に証明した(Zgliczynski, Wilczakとの共同研究、論文準備中)。これにより昨年度に発表したcusp-transverse heteroclinic chainについての結果が補完され,大域的分岐の構造がより明らかになった. (2)國府はまたfast-slow系というベクトル場の特異摂動系の構造をConley指数を用いて調べる理論を、遅い多様体が2次元以上の場合に拡張した([2])。また、その応用としてGardner-Smollerによって研究されたある種の反応拡散系の進行波解をこの理論を用いで調べ.2種類の周期進行波解や.それを任意の順序でつなぎ合わせたような波形を持つ無限個の進行波解の存在を証明した(論文印刷中). (3)荒井はMischaikowと共同でhomoclinic接触を計算機支援により厳密に証明する位相計算理論的方法を与えた. (4)稲生は複素3次多項式の繰り込みについて調べ,繰り込みの列が収束するための組み合わせ論的な条件を得た. (5)辻井はLiveraniとの共同研究で,一様双曲的な力学系のゼータ関数の解析的性質についての新しいアプローチを与えた.これには辻井とBaladiが導入したある種の超関数のなすBanach空間の性質が重要な役割を果たす. (6)小川は浅い長万形領域におけるRayleigh-Benard対流についての分岐解析を行い,中心多様体上の3次までの分岐方程式を得た.これにより六角形パターンやパッチワークキルトと呼ばれる混今モードの解の安定性が例えばGinzburg-Landau方程式と同様に不安定であることが予想されるが,領域の形状によって安定な混合モード解も存在することがわかった.
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