研究課題/領域番号 |
17340048
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中屋敷 厚 九州大学, 大学院数理学研究院, 助教授 (10237456)
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研究分担者 |
桑野 泰宏 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 助教授 (80309038)
今野 均 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00291477)
趙 康治 九州大学, 大学院数理学研究院, 助教授 (10197634)
金子 譲一 琉球大学, 理学部, 教授 (10194911)
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キーワード | シグマ関数 / 平面代数曲線 / Fayの公式 / 超楕円曲線 / Klein |
研究概要 |
本年度は主に高次元シグマ関数について研究しました。 高次元のシグマ関数は、Weierstrassのシグマ関数の拡張として、Kleinにより超楕円曲線に対して導入されました。この関数は種々のよい性質を持っており、本研究課題の遂行においても重要な役割を果たすものと考えています。実際,昨年度はKleinのシグマ関数を用いて、種数3の超楕円アーベル関数の微分構造を決定するなどの研究を行いました。 さてBuchstaber-Enolskii-Leykinは、最近の一連の研究により、シグマ関数の概念を超楕円曲線よりさらに一般の平面代数曲線に対して拡張し、その性質を研究しています。性質を研究する際に、基になっていることの一つに、シグマ関数の原点の周りでの幕級数展開の係数が、代数曲線の定義方程式の係数の多項式になる、という事実があります。ところが出版された論文におけるこの事実の証明には誤りが含まれており、それを訂正し証明を完成することは重要なことです。 本年度の研究によりこの証明を完成しました。具体的には、シグマ関数の代数的表示式、つまり代数的な第一種および第三種積分を用いた公式を構成しました。これは超楕円曲線の場合のKleinの公式の自然な拡張になっており、Fayの公式といわれるヤコビ多様体の基本公式の代数的記述になっています。
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