研究課題
1.5m赤外シミュレーターは、駆動部と制御部が全面的に更新され、広島大学宇宙科学センター附属東広島天文台(東広島市下三永695-1)に平成18年5月末設置された。駆動速度は、突発天体を即座に捕らえるため、移動最高速度を、方位軸方向は毎秒5度、高度軸方向は毎秒2度と高速化した。制御も全面的なコンピューター制御可能になった。改造された望遠鏡は「かなた望遠鏡」と名付けられた。突発・激動天体追尾の為には、例えばガンマ線バースト(GRB)発見情報がGCNを通じて入ったときに自動的に発見位置に正確に合わせる必要がある。制御パソコンと制御プログラムを開発チューニングし速度と制度を調整し試験観測で性能を確認中である。現在のところ最適値とは言えないが、観測に支障のない精度が得られている。現在、全自動にはなっていないが試験観測には支障がない程度に望遠鏡の制御は自動化されている。全自動化の為には、GCNを通じて得られたGRB情報が、観測可能な位置にあるか否か計算し判断すること、天候が観測可能か、望遠鏡のステイタスが観測可能か(ドーム内の安全も含む)、観測装置が観測可能な状態か判断すること、観測・取得されたデータは直ちに解析し正しく取得されたデータかどうか判断出来なくてはならない。それぞれのパートで基本的なプログラムは用意されつつあるが、まだ観測装置は開発中の部分があるのでそこの部分はまだ手が付いていない。現在は使用可能観測装置で試験観測を行いながら、自動化の為のデータを集めている状態である。かなた望遠鏡と名古屋大学が開発したTRISPEC(三色分光器)との組み合わせで試験観測を行っているが、GRB、古典新星、超新星、矮新星などの観測に成功しており、基本的性能は確認され、徐々に自動化の体制が整いつつある。