研究概要 |
2006年6月13日に宇宙航空開発機構の三陸気球観測所よりGAPOM2の気球搭載用モデルの飛翔実験を行った。飛翔は、日本時間午前5時33分放球、17時21分着水で、その後観測機器を海上回収した。飛翔中機器は正常に動作し、回収後も機器は正常であった。高度38kmでの観測は10時15分から16時40分までカニ星雲の方向に向けて行われた。ガンマ線バーストは、飛翔中に1発起こったが、残念ながら高度上昇中で観測開始前であり観測できなかった。カニ星雲については、視野内に入っていた時間は述べ1時間程度で、X線の検出に成功した。偏光度については上限値を得るに留まった。 飛翔実験後、着水のショックや塩水で壊れた気密箱の一部やエレベーション装置など観測機器の修理を行った。検出器は取り出し、単体でKEKPFにおいて飛翔後較正実験を行い、性能に変化がないことを確かめた。 硬X線望遠鏡の焦点面用に開発してきたイメージング偏光計については、KEKフォトンファクトリ(PF)で偏光X線の照射実験を行った。散乱体となるセグメントプラスチックシンチレータは、断面が、8×8ピクセルで4コーナーの3ピクセルを除いた52本を束ねた円柱形で、そこでのコンプトン散乱の反跳電子のエネルギーを検出することで入射X線の位置を知る仕組みである。それによるイメージングが25,30,40,60,80keVで可能であることを実証し、その性能を評価した。コンプトン散乱されたX線は周囲の16個の大面積で長四角形のCdTe半導体検出器により検出される。そのスペクトルが良いエネルギー分解能で検出できることと、コンプトン散乱の異方性モジュレーションが設計通りに検出できていることを確認した。
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