研究概要 |
H17年度には気球実験の準備実験を行った。まず、CsIシンチレータによる大面積(3300cm^<2>)の反同時計数検出器を製作した。そのために9本の光電子増倍管のための低消費電力のブリーダ(チップ部品を使用)や、浜松ホトニクスの高圧ハイブリッドICを10個使用した低消費電力の「高圧電源コントロールユニット」を設計し製作した。次に太陽センサの製作と較正実験を行った。浜松ホトニクスのシリコンフォトダイオードを使用し、ピンホールの影を重心読み出し方式で検出する。実際の太陽を用いた較正データを視野60度×60度で取得し、太陽位置決定精度として±0.5度以内を達成した。 H18年度には2006年6月13日に宇宙航空開発機構の三陸気球観測所よりGAPOM2の気球搭載用モデルの飛翔を行った。飛翔は、日本時間午前5時33分放球、17時21分着水、その後観測機器を海上回収した。飛翔中機器は正常に動作し、回収後も機器は正常であった。高度38kmでの観測は10時15分から16時40分までカニ星雲の方向に向けて行われた。ガンマ線バーストは、飛翔中に1発起こったが、残念ながら高度上昇中で観測開始前であり観測できなかった。カニ星雲については、視野内に入っていた時間は述べ1時間程度で、X線の検出に成功した。偏光度については30-100KeVで偏光度80%以下という上限値を得た。次に硬X線望遠鏡の焦点面用に開発したイメージング偏光計の偏光X線の照射実験をKEKフォトンファクトリで行った。散乱体として52本を束ねた円柱形セグメントプラスチックシンチレータを用い、吸収体として16個の大面積で長四角形のCdTe半導体検出器を周囲に配置した。そのイメージング性能や偏光検出能力を25,30,40,60,80,keVで実験した。 H19年度は、前年度気球実験データの整約、より姿勢を安定させた準備気球実験の実施、「小型ソーラーセール実証機」へのガンマ線バースト偏光検出器搭載の提案を行った。
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