研究分担者 |
日笠 健一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20208739)
棚橋 誠治 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00270398)
諸井 健夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60322997)
石川 洋 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20291247)
横山 順一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50212303)
|
研究概要 |
素粒子の標準模型を超える理論について、現象論、宇宙論、そして超弦理論などの知見を結集し、総合的な見地から批判的な検討を加え、また新たな提案を提唱していくことは、緊急性の高い重要な研究であると考えられる。この研究の目的は、素粒子の標準模型を超える理論についてこれまでの我々の研究を継続し、それを現象論および宇宙論的観点、さらには超弦理論の観点も加え総合的に検討を進めることで、新たな素粒子像の構築に向けて従来よりも格段に前進することである。 本年度は具体的には次のような研究を進めた。超重力理論におけるモジュライ場やインフラトン場などのスカラー場がグラビティーノ対に崩壊する崩壊率が大きいことを指摘した。スカラー場のグラビティーノ対への崩壊はこれまで正しく理解されておらず,したがってその重要性も正しく認識されていなかった。このグラビティーノへの崩壊の宇宙論に対する多大な影響について議論した。特にグラビティーノが更に軽い超対称粒子に崩壊したときの元素合成からの制限,および最も軽い超対称粒子の残留密度が観測を超えないという制限を詳しく議論した。KKLTタイプの超対称性の破れが示唆する超対称模型では,このグラビティーノ生成による宇宙論的問題が深刻である。また多くのインフレーションがこの困難を抱えることになることを示唆した。 超対称理論における右巻きスニュートリノが宇宙の暗黒物質になりうることを示し、その現象論的帰結について議論した。 これらの論文は論文として既に公表した。また,KKLTタイプの超対称性の破れの模型に関して,その性質を詳細に検討している。これについては,研究結果がまとまり次第論文として発表する予定である。
|