研究課題/領域番号 |
17340063
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清水 肇 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (20178982)
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研究分担者 |
山崎 寛仁 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (90260413)
石川 貴嗣 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (40400220)
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キーワード | ペンタクォーク / ストレンジネス / 電磁カロリメータ / STBリング / 固体重水素 / CsIクリスタル検出器 / BSOクリスタル検出器 |
研究概要 |
この研究は、第1に核理研の1.15GeV標識化光子ビームを用いて、Kメソンを生成しない反応γd→ΛΘ^+の閾値領域を詳細に調べ、Θ^+の幅を精度よく測ると共に、この反応の生成断面積を測定することを目的とした。又、第2に同じく核理研の1.15GeV標識化光子ビームを用いて、γd→ηnX反応におけるηn系の幅の狭い共鳴状態を探索することを目的とした。後者は、もしその存在が明らかとなれば、ストレンジネスを露わには含まないペンタクォークバリオンの最初の候補である。第1の目的は、加速器電源の重故障のために計画が少し遅れているが、NKS2実験のバイプロダクトとしてデータ収集は一部行われており、現在解析中である。本年度の研究では、特に第2の研究で大きな成果が得られた。 本研究において、私たちは非常に幅の狭いバリオン共鳴を発見した。質量は、1665〜1675MeV/c^2で、幅は、現在までの解析では10〜40MeV/c^2である。これは、重陽子を標的とするηメソンの光生成反応γd→ηnXの実験で観測されたものである。この発見のもう一つの重要な点は、この幅の狭い共鳴状態が中性子とは結合するが、陽子との結合が全く見られないということである。バリオンSU(3)多重項におけるU-spinの保存を仮定すると、この共鳴状態がペンタクォークバリオンのanti-decupletの一つ(U=1)であるとするのが最も自然な説明である。入射光子ビームのエネルギーが800MeV以上の領域で、重陽子を標的とするηメソン光生成反応断面積のデータは未だどこからも論文発表されておらず、このデータが世界で最初のデータとなるべく、現在論文を執筆中である。
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