研究課題/領域番号 |
17340064
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡村 弘之 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (10221144)
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研究分担者 |
畑中 吉治 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (50144530)
酒見 泰寛 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (90251602)
民井 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (20302804)
涌井 崇志 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助手 (70359644)
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キーワード | 実験核物理 / スピン偏極 / 中性子ビーム / 核力 / 多体相互作用 / レーザー光ポンピング |
研究概要 |
昨年度整備の進められた外部共振器付き半導体レーザーを用いて、光ポンピング系の整備・開発を行った。レーザーパワーを効率的に利用するため、原子ビームとレーザー光を正確にアラインしてドップラー広がりの影響を抑え、長時間の安定運用を行うための波長フィードバックシステムが設計・整備された。原子ビーム部に関しては、高温のリチウムによるダメージを抑えつつ、高い熱伝導率により温度分布の一様化を図り、かつ磁場影響を抑えるため、純ニッケル素材によるオーブンの設計・製作を行った。これらを組み合わせた総合テストが現在進行中である。また、3価のリチウムイオンを作り出すための超伝導ECRイオン化器の試験運転が今年度春から開始され、アルゴンやクリプトン等の希ガス重イオンビームを共同利用実験に供する一方、ビーム引き出し部やビーム輸送部の改良が行われた。今年度内には偏極リチウム中性原子ビームをイオン化器に入射するまでには至らなかったが、スピン減偏極を抑えつつ、高効率で3価のイオンを作り出すための運転条件の最適化が今後の課題となる。そのためにはイオン化後のスピン偏極度を測定する偏極度計が必要であり、当初計画では入射サイクロトロンで加速した後の高いエネルギー(60MeV)での^4He(^6Li,α)^6Li弾性散乱の利用が考えられていたが、限られたサイクロトロンの利用頻度では開発のフィードバックにとって望ましくないので、新たに加速前の低エネルギー(60keV)で利用可能な偏極度計の設計が行われ、ターゲットに80kV程度の負高圧を印可すれば^2H(^6Li,α)^4He反応の利用が可能である事がわかった。一方、これらの実験的研究と平行して、リチウムに代表される複合粒子ビームを用いた反応機構の取り扱いに関するワークショップを開き、原子核理論研究家との協力体制の促進を図った。
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