研究課題/領域番号 |
17340065
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
福田 善之 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (40272520)
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研究分担者 |
森山 茂栄 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (50313044)
塩澤 真人 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (70272523)
小汐 由介 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (80292960)
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キーワード | 太陽ニュートリノ / ニュートリノ振動 / 放射線検出器 / 素粒子実験 / 太陽物理学 / 半導体検出器 |
研究概要 |
平成17年度は、従来までに制作した米国AXT社製のVCF製法の半絶縁性InP半導体結晶を用いた、面積が6mm×6mmおよび3mm×3mm、厚さが200および500ミクロンのペルチェ冷却型InP検出器を用い、ロータリーポンプで1Paの真空下で-50℃以下に冷却し、放射線測定を行った。その結果、全ての検出器で^<57>Coの122keVγ線の観測に成功し、特に厚さが200ミクロンの検出器では^<241>Amの60keVγ線を観測した。これから、冷却によって移動度が格段に上昇し放射線計測が高検出効率で行えること、更に計測の再現性が良好で検出器の個体差が非常に少なく安定していることを実証した。一方、ペルチェ素子を有さない常温型検出器を小型デュワーに設置し、ドライアイスによる冷却環境下の放射線計測を行った。その結果、ペルチェ型検出器よりも更に低ノイズによるガンマ線観測が可能となり、収集した電荷分布からγ線スペクトルが光電ピークを形成していないことを発見した。この電荷分布をモンテカルロシミュレーションを用いて詳細に解析した結果、InPの電子・ホール対生成エネルギーは4.2eV、キャリアのドリフト長は200ミクロンであり、厚さ200ミクロンの検出器に対して平均電荷収集効率が66%に留まることがわかった。更に、この電荷収集効率はγ線の反応点と電極との距離に依存し、距離が長い程低下するため光電ピークを形成しないことを突き止めた。このシミュレーションの結果から、バイアス電圧を1kVに印可するとドリフト長は500ミクロンに改善し、電荷収集効率は88%、エネルギー分解能は11%の光電ピークを形成することが判明した。このため、高バイアス対策を施した新規のInP検出器を開発した。この検出器では、従来のVCF結晶以外に、住友金属工業製のVCZ製法の結晶も採用した。現在、この新規検出器の測定準備を行っている。また、太陽ニュートリノプロトタイプ検出器で使用する予定のピクセル構造の性能を評価するため、新規の3mm×3mm InP検出器を3×3並列配置したピクセル型検出器の制作も同時に行った。
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