研究概要 |
最近発見されたトライ・バリオン,S^0(3115)等,が、我々が提唱してきた高密度K中間子核として説明可能であることを明らかにした。そこでの理論面の鍵は、カイラル対称性の回復による相互作用の強まり、強い束縛による大きな相対論的効果、高密度核における強いLS力にある。一方、実験面の鍵は、これらの系が高密度となっていることの確証を得ることにある。我々は、K中間子核からの3体崩壊粒子の運動量分布を測定することにより、それが可能であることを指摘した。 高エネルギー陽子による反応、重イオン反応中で発生するK中間子核の崩壊と同定に関して実験に先立ち理論的シミュレーションを行った。K中間子を生み出す陽子陽子衝突においては、短距離反応であること、運動量移行が極めて大きいことの相乗効果として、K中間子核の前駆体であるラムダ1405粒子と陽子とが小さな空間に閉じ込められたドアウェー状態ができ、そのため、K核の密度が高ければその収量が大きくなるという、重要な反応メカニズムが明らかになった。 ドイツGSI研究所において、重イオン衝突、陽子陽子反応におけるラムダ粒子などの観測の実験を企画し実験に参加した。K核生成を示す物理量を解析中である。 これらの成果を、韓国物理学会招待講演、ドイツBad Honnef Workshop招待講演、ワシントンDC日本学術振興会フォラム招待講演、日米合同物理学会(核分野)Workshop招待講演、ミャンマーMandalay Winter School講師、京都Hadron Workshop招待講演などで報告した。
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