研究概要 |
1)われわれの過去の論文に対して、批判的な論文がOset-Toki, Magas et al.によって発表された。われわれはその論文の中にある誤謬を指摘し、さらにそれを敷術して、K中間子吸収において発生する核子、ハイペロンの運動量スペクトル、核子-ハイペロンの不変質量分布スペクトルを計算し、それを論文に発表した。 2)K核の最も基本的単位Kppの構造をさらに研究した。この3体問題を正確に解いた結果、この系はKpを原子的単位とするKp-p分子の構造を持つことがあきらかとなった。このことは、K中間子が二つの陽子の間を行き交い、ちょうど水素分子におけるHeitler-Londonの結合機構に対応する構造をもつことを意味する。従来の核力がパイ中間子の媒介するものであったのに対し、K中間子はsuper strong nuclear forceともいうべき結合力をもたらしている。 3)Kpp核を生成する反応としてpp->K+X反応を研究した。おどろくべきことに、pp反応で生成するLambda1405粒子はただちにpと結合し、Kpp核をつくる断面積が極めて大きいことが予言された。 4)この見地から、新たにGSI研究所で実験を提案し、実験方法を検討した。また、これと並行して、以前にサクレーで行われた実験結果の中にそのような事象は隠れているかを探索した。その結果、質量2290MeVをもつ候補があらわれた。さらに検討を続けている。
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