研究課題/領域番号 |
17340070
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
青木 健一 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (00150912)
|
研究分担者 |
鈴木 恒雄 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (60019502)
出渕 卓 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (60324068)
|
キーワード | 量子色力学 / 非摂動 / くりこみ群 / カイラル対称性 / 有限密度 / 有限温度 / 格子ゲージ理論 / シミュレーション |
研究概要 |
非摂動くりこみ群: 非摂動くりこみ群を用いて、量子色力学におけるカイラル対称性の自発的破れを評価する方法は代表者らによって開発されてきた。この方法を、有限温度、有限密度の状態について拡張するのが本研究計画の目的である。最初に解析するべき近似として、いわゆるはしご近似の段階でのβ関数について調べた。有限密度の場合には、正しい結論を出すためには、補助場を導入することが必須という結論になり、有効ポテンシャルの解析に進んでいる。また、有限密度、有限温度の場合に、はしご近似を超えた近似を行うと、ローレンツ不変性の破れを陽に扱う必要があることがわかった。この効果が基本的な相構造の理解にどのように影響するかを調べている。 格子ゲージ理論: 格子理論はゲージ対称性を保ちながら量子発散を正則化出来る方法で、ゼロ温度、密度では原子核内部のクォーク、グルーオンの動力学を第一原理から解き明かす「格子色力学」(QCD)が大きな成功をおさめているが、有限密度への応用はまだ発達途上である。ほとんど全ての既存研究では格子上のクォークとしてスッタガードフェルミオンが使われており他のフェルミオン形式に関しては調べられていないが、スッタガード形式はユニタリティや相互作用の局所性が保証されていない理論形式となっているため、連続極限で本当にQCDを記述しているのかという重大な疑問符がつけられている。そこで、ユニタリティと局所性を保証できるウィルソン型のクォークを用いる理論形式が可能かどうかについて研究した。スッタガードクォークの時に有用であった、分配関数(ディラック行列)を有限化学ポテンシャルの巾で展開するグラスゴー法と呼ばれるアルゴリズムをウィルソン型に拡張を試みた結果、空間サイズを次元として持つ行列の逆を使って巾展開をするアルゴリズムが作れることが分かった。今のところこの逆行列が常に存在するとは証明できない事が問題で次への課題である。
|