研究分担者 |
横山 順一 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (50212303)
早田 次郎 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00222076)
田中 貴浩 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (40281117)
小玉 英雄 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40161947)
中尾 憲一 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90263061)
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研究概要 |
高次元時空をコンパクト化した際に現れるディラトンの時間変化が陽子・電子質量比と微細構造定数の時間変化の観測に整合的で,なおかつダークエネルギーの時間発展に対する観測的制限と無矛盾であることを,超弦理論に基づく解析によって示した。また,弦理論的宇宙論の有望な候補であるストリングガス宇宙モデルにおいて,熱揺らぎによる構造形成の可能性を研究し,その問題点を明らかにした。さらに,M理論における動的コンパクト化を記述する超対称解を構成した。 高次元の漸近的反ドジッター時空における回転ブラックホールの安定性およびブレインワールドブラックホールの存在を摂動論により調べた。さらに,ブレーンワールドブラックホールに関する知見を得るため,ブラックホールと星の共存系に関する考察を行なった。その結果,ある条件下で静的な状況を保ちつつ共存するとこが不可能であることを証明した。また,余剰次元空間が2次元のブレーン宇宙の余剰次元体積を量子効果によって安定化する機構を提案した。 インフレーション宇宙における揺らぎの生成に関して,一般化されたslow roll近似と長波長展開を組み合わせた系統的で単純な公式の導出に成功した。また,インフレーション宇宙で非ガウス的揺らぎが生成される可能性を議論し,具体的にカーバトン・シナリオでの非ガウス揺らぎの統計性を評価し,そのCMB揺らぎへの影響を明らかにした。さらに,インフレーション宇宙起源の宇宙磁場に関する系統的考察を行い,十分な大きさの磁場が生成されるための一般的条件を明らかにした。 裸の時空特異点における境界条件を調べるために,円筒対称時空におけるダストの重力崩壊についての研究を行った。その結果,適切な境界条件を要請すると,時空特異点の非正則性がマイルドになり,古典重力理論の枠組みでも取り扱いが可能になる事を明らかにした。また,ブラックホールと中性子星の合体現象を一般相対論的に調べ,中性子星が潮汐破壊される条件や潮汐破壊された後に誕生する天体および合体時に放射される重力波の波形に関する示唆を得た。
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