昨年度に引き続きGeant4による測定器のシミュレーションの開発を行った。10月頃よりSuper KEKB加速器・衝突点の設計に関して測定器のバックグラウンドとなる、ビームによるシンクロトロン光放射のシミュレーションを行う事になり、その準備に協力した。その後加速器の全体的な設計に大きな変更が検討され始めたので、その検討結果を待って続ける事とした。加速器の設計変更は、これまでの大電流による衝突ではなく、ビームのエミッタンスを従来の円形型加速器では考えられないほど小さくし、また直線衝突型加速器の設計アイディアを取り入れてビームの一部のみが衝突する様なデザインであり、その実現可能性は十分に検討されなければならない。しかしもし実現可能であれば、本研究課題である、長扁平型を含む、極小半径、長さのビームパイプを製作する為には、非常に有利な条件となる。本研究課題のビームパイプは、従来の大電流型の加速器デザインとは、はっきり言って、矛盾する考え方であったが、ナノビームオプションと呼ばれる新しい加速器のデザインでは、ビームサイズが小さくなるのはもちろん、交差角が大きくなり、電流も現在のKEKBとあまり変わらないなど、本研究の目指すビームパイプの実現性(あるいは実現必要性)が非常に大きくなる。従って、加速器デザインの変更に際して、様々なオプションが提供できるよう、準備した。
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