研究課題
基盤研究(B)
高エネルギー実験の複雑な実験データを用いてモデルの正否を決定し、さらにモデルに含まれるパラメータを精密に測定するためには、信号・バックグランド双方に対して、提案された理論に基づいて大規模かつ高度な数値計算を行い、実験と理論とを有機的・整合的に結びつけることが必要となる。このような方法を「数値解析法」と呼ぶ。本研究では、場の量子論の摂動論に基づく理論計算を迅速にまた数値的に安定して遂行するための数値計算法を確立した。それを用いて実験により得られた測定値と物理モデルに基づく理論的予言とを結びつけるための本質的な役割を担う、イベント・ジェネレータを開発した。特に、量子色力学に基づいた高次補正を含むイベント・ジェネレータの開発を行った。物理過程としては、陽子・陽子散乱によるWボソン+ジェット生成、2光子生成等を扱った。また、散乱振幅を生成し、数値を与えるためのプログラム・システムの開発や、輻射補正に現れる積分(ループ積分)を遂行するためのプログラムの開発をおこなった。さらに、摂動論による高次補正を計算する際に現れるループ積分に対して、数値的解析法を適用する方法を開発した。これは、ファインマン・パラメータ積分を直接数値積分することにより、複雑な複素多重積分を組織的に計算する方法である。数値計算の精度の確保と数値積分法の改良により、モンテ・カルロ積分では5桁に止まっていた数値精度を十数桁まであげる、という成果を得た。これにより、電弱相互作用の2-loop補正を組織的に行うための基本的な知見が得られた。
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http://www-sc.kek.jp/